東台湾の歴史を巡る旅 花蓮編 池南部落と池南国家森林遊楽区、壽豐郷の名産、立川漁場、雲山水、米桟古道 【花蓮縣壽豐郷】

 【池南部落と池南国家森林遊楽区】

鯉魚潭の南側に池南部落(Banaw)があります。少し古いデーターになりますが、2018年現在、375 世帯、885 人が住んでおり、その中で原住民が398 人、部落内総人口の 45% を占めます。原住民族別に、阿美(アミ)族 38%、太魯閣(タロコ)族 2%、泰雅(タイヤル)族 2%、その他 2% です。

大正6年(1917年)、日本政府は鯉魚尾社、池南社と一部の豐田村を「花蓮港廳蓮壽村」としました。池南は鯉魚潭の南側にあるため、名付けられました。(潭は湖を意味します)戦後、共和、共榮(今の光榮)、池南等を「壽豐村」と改名しました。

鯉魚潭南側にあり、荖渓傍の高台に池南国家森林遊楽区があります。総面積は144㌶、海抜は140-601mに位置します。池南はいつも日当たりが良く、風がやさしく吹いているので、年間平均温度は21.8度、気候が温暖で湿潤で、鯉魚潭や鯉魚山を一望できるハイキングスポットのひとつです。

池南国家森林遊楽区の前身は池南集材加工場で、林務局花蓮地区管理処に属する木瓜山事業区の集材地でした。1960年~1980年の林業全盛時代、木瓜山事業区内で伐採された木材は、運搬用に整備された専用鉄道や索道によって池南集材加工場に集められ、ここから運ばれていきました。
その後、台湾政府は森林伐採を全面禁止しました。これに伴い、1986年、池南集材加工場の集材事業にも終止符が打たれました。その後、池南集材加工場の往時の様子を多くの人々に知ってもらうため、林業陳列館を設けた森林遊楽区へと転身しました。材木に囲まれた屋外広場には、各地の林場から集められた加工機具や木材運搬用の蒸気機関車、集材機、ディーゼル集材機、索道、ゴンドラなどが展示されています。保存状態は良好で、台湾林業史を理解できると同時に、木材伐採の詳細を学ぶことができます。

展示機具の中でも、もっとも貴重と思われるのが蒸気機関車です。これは1910年にアメリカで製造されたもので、重量は18トン。最高95トンを牽引することができます。世界でも数少ない大きな牽引力をもった機関車で、かつて阿里山で66年間走っていました。そのほか、集材機もあります。これは木材を燃料とし、85馬力ですが、初期の機械設備の中では 傑出したものとされていました。林田山林場で32年間、用いられていました。

台湾林業最盛期に活躍したエース達が今ここで静かに余生を送っています。
 

 【壽豐郷の名産】

壽豐郷の名産と言えばまずは有機野菜。

県内でも積極的に有機農法を取り入れているのが壽豐郷農会(日本の農協にあたる)。現在、同農会では台湾全国に向けての有機野菜の宅配を行っている。

さらに、壽豐郷では、スイカ、パパイヤ、バナナの栽培にも力を入れています。。スイカは、甘くて美味しいスイカが年中収穫されている。種無しスイカ発祥の地がこの壽豐郷であることを知っている人は少ないでしょう。花蓮川流域には一面にスイカ畑が広がっています。

 

【立川漁場】

壽豐郷のもう一つの名産と言えば、「黄金シジミ」。

1963年に30歳を過ぎた蔡有進さんが、家族全員を引き連れ、故郷である雲林から台東へと移住しました。辛い開拓生活から8年後、彼は、新しい夢を抱き、再び台東から花蓮へと移住しました。そして、水路が網の目のようになっている壽豊郷で、シジミの養殖事業を立ち上げました。これが立川漁場のはじまりです。彼は家族と事業を支えてくれる河に感謝の意を表すため、河の名前を会社名の冠とし、「立川漁場」と名付けました。

長年に渡る養殖生産技術の進歩と経営管理の努力により、一粒の小さなシジミは外側の殻が黄金色の光沢を放つ「黄金シジミ」となりました。ゼロから立ち上げた「立川漁場」は、全国十大農民に与えられる「神農賞」を受賞し、漁業養殖業者として全国的に知られるようになりました。

また、立川漁場では、「緑川」という黄金シジミの研究開発に成功し、「GMP食品」および「CAS優良農産品」などの認定証を取得、その後、シジミサプリ、シジミエキスなど多くの健康食品を次々と開発し、伝統的な養殖産業の付加価値を高めました。

さらに、立川漁場の成功の裏には、養殖技術そのものの進歩もありますが、優れた自然環境も欠かせない条件となっています。

高台から立川漁場を眺めると、天然の泉が湧き出る養殖地はまるで黄緑色の枠をかけた鏡のようです。池面に映る雲、宝石のような輝きを放つ太陽の光は、見たものを感動に包みこみます。

立川漁場では、潮干狩りを体験できるほか、「グルメたちの秘密の厨房」との称号を得ているレストランがあります。ここでは獲れたての美味しいシジミ料理が味わえます。ここのシジミを食べると、「今まで食べていたシジミは一体何?」と思えるほど美味しく、貝が苦手な筆者も、ここのシジミならば美味しく食すことができました。

 

【雲山水】

立川漁場から車で15分ほど走ると、台湾人観光客が大好きな「雲山水」に到着します。ここは、元々は民間の別荘地として開発された場所ながら、その美しい風景を一般の人達にも公開したいという地主の意向で、無料開放されていましたが、来場者が増え、園内の清掃に人手がいるようになり、有料となりました。公園内には大きな人工の湖があります。この湖を台湾の人達は、「夢幻湖」と呼びます。夢のような美しい風景という景色から、「夢幻湖」という名が付いたそうです。炭酸カルシウムを多く含む地下水は、太陽光線にあたり、美しい藍色に見えます。その池面に映し出される東海岸山脈や空の雲。花蓮の美しい水と山の風景を楽しみたいなら方には最高の場所です。

ただ、今まで筆者も何組かの日本人観光客の方をお連れしましたが、どうも日本人には今一つ感動してもらえない場所でもありました。

公園内にはおしゃれな民宿や別荘が立ち並んでいます。見学の際には、民宿や別荘の敷地内に無断で立ち入らない様に注意してください。

 

【米桟古道】

米桟古道は100年以上の歴史を持つ古道。

この古道は、東海岸の水璉村に住む原住民達が、収穫された米を東海岸山脈を越えて、豊田村まで運搬、帰りは、米を入れてきた甕に、水を入れて帰った。また、豊田村に住んでいた漢人達が日用品等々を東海岸の水璉村まで運搬するために使っていた商業交易道でもありました。米桟古道を通って運ばれた米の一部は、米桟村から船で川を上り、現在の鳳林(昔の林田村)まで運ばれていたのです。

当時は全長7kmの道でしたが、利用者がなくなり、一時、古道は姿を消しました。後に、地元の人達によって、海抜415m,全長1,700の古道が再建されたのです。

日本ではあまり知られていない米桟古道。実は、古道が再建された当時は、訪れる台湾人も多かったのですが、最近では訪れる人も少なくなりました。少しさみしい気もする。

険しい山道を、大きな陶器の甕に、米や水を背負っての山越えは想像を超える苦労があったと思う。昔の人の強い精神力と体力に敬服するばかりです。

 

花蓮港木材株式会社
國家文化記憶庫より

花蓮港木材株式会社広告
東台湾展望より

池南部落入口


池南森林遊楽区で展示されているアメリカ製蒸気機関車

池南森林遊楽区で展示されているドイツ製ディーゼル機関車


立川漁場の黄金シジミ
同社ホームページより

立川漁場
同社ホームページより

立川漁場園内地図
同社ホームページより




雲山水





【参考文献】

*行政院原住民委員會2018年(民國107年)出版《臺灣原住民族部落事典》

 

*池南國家森林遊樂區:花蓮縣壽豐池南村林園路65

入園料

☆一般(平日)40元 (日曜祝日)50

☆半票(全日)25元 

(1)花蓮縣民(要身分証提示)

(2)兒童(7-12),学生(要学生所提示)

(3)軍人、警察官(要身分証提示)

(4)遺族年金受給者(要身分証提示)

☆優待票(全日)10

(1)65以上

(2)3-6兒童。

☆無料

(1)0-2

(2)身体障害者及び付添人1名(要障害者手帳提示)

(3) ボランティア活動名誉カード保持者

(4)消防団員(義消)、ボランティア防犯隊員(義警)

駐車場代 大型車100元 小型車50元 バイク20

 

*立川漁場:立川漁場:花蓮県壽豐郷魚池45号

入場無料 営業時間:am9:00-pm19:00 年中無休

 

*雲山水 花蓮縣壽豐豐坪路二段220188

入園料:

☆一般120(50元の園内で利用できるクーポン券付き)

☆優待券100(50元の園内で利用できるクーポン券付き)

(1)65以上の方

(2)身長120cm以上の学生

(3)15人以上の団体(3日前までに要予約)

☆愛心券70(クーポン券なし)

(1)花蓮縣下の学校の生徒、学生、教師

(2)身体障害者及び付添人1名まで

(3)花蓮縣民

無料:清朝120cm未満の幼児

開園時間:am8:30 pm17:00 年中無休

 

*米桟古道 花蓮縣壽豐郷米桟村

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